未詳まで

同じ人

戯言

ロートレアモン伯爵の文体で人間を殴るだけ

おや!君の剛健な身体に備わったミミズの様に太い神経にも、痛覚が備わっているとは知らなかった!しかし、自動機械の定められた文法に従って緊張した、普段なら盛りの付いた猫の尾の様によく動く表情筋や、僕の耳には優しいヒキガエルの様なうめき声で、僕…

拡散まで

どうして意味という意味が消し去られた世界に投げ込まれてしまったか。君はそう問うたね。勿論それは、世界に意味を与えてしまうと、たちまち自らの存在が悪や不要物といった観念に吸収されてしまう様な状況に、君が立たされていたからに他ならない。言うま…

色んな音に聞こえる長い溜息

サルトルは『存在と無』の中のもっとも見事な個所で、他人の実在という次元で、眼差しを機能させています。もし眼差しがなかったとしたら、他人というものは、サルトルの定義にしたがえば、客観的実在性という部分的にしか実現されえない条件にまさに依存す…

死と乙女

扱っている言葉を変えたい。ここにいたくない。言葉を変えるのではなく、経験の方を変えたい。感覚そのものを。僕の本質は自己を否定し続け、停止する事だ。それ以外には特に何の要素もないので、別人になったって構わない。全ての自分の感情を冷笑する人間…

雨の日の天啓

プロローグ その日、僕は雨の降る中、人気のない海岸で膨れ上がった溺死体が引き揚げられるのを一人眺めていた。性別不明の水人間の口、かつて口であったと思われるボソボソとした穴の中から鮮やかなオレンジ色の魚、カクレクマノミが一匹這い出てきた。きっ…