スクリーンの空

パロディ

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

表面に踏み止まること

僕は映画を見ていて話の筋が分からなくなったりしない。YouTubeの下らない動画で笑ったりも出来る。音楽を聴けば、曲が自分の身体とどこかで共鳴していることが分かる。小説で作者の欺瞞や陳腐な図式性を批判することが出来る。文字の羅列を読み、それが理由…

野蛮なもの

人が他者に何らかの説明を求める時に多くの場合、自動的にある一つの暗黙の主題を設定してしまい、その時点で関係性は硬直に陥っている。それは時に最も下品な、しばしば権力を握る者による、意図的な弱者への圧迫であることもあるが、他方では自由なやり取…

色んな音に聞こえる長い溜息

サルトルは『存在と無』の中のもっとも見事な個所で、他人の実在という次元で、眼差しを機能させています。もし眼差しがなかったとしたら、他人というものは、サルトルの定義にしたがえば、客観的実在性という部分的にしか実現されえない条件にまさに依存す…

彗星

あと一歩を踏み込めば、僕はこの世界から消えてなくなる。誰かが少し背中を押しさえすれば、それは為されるだろう。目の前を轟音が通り過ぎる。だけど僕はまだ黄色い線の手前にいる。恐らく同じ時、どこか別の場所で、彼は五十八錠もの睡眠薬を飲み干した。…