青色だったと気付く

 僕たちがお互いにいてもいなくてもいい存在でしかないという事実は、当然のことだって受け入れている。そんな関係は、或いは少し淡白なのかも知れない。いつだって世界は僕抜きで旋回している。そんな風に感じてしまうのは、目の前のこの人も、この人を含む景色も、いつか世界の概念に溶けてしまうことを知っているから。ついこの間まで星や夜景の仲間だったものが、ふいに僕の手を引く。人々はそんな風に立ち現れては消えて行く。

 夕日が建物の隙間から細く差し込む。テーブルクロスや飲みかけのグラスに反射した光が、こんなにも鮮やかな橙色に見えるのは、補色の効果でもあるのだろう。僕は世界が青色だったと気付く。今この瞬間が時の時だと分かることは幸運で、いつも遅れて来る感情が、空っぽの間に通り過ぎていった時間をきっと、埋めてくれるだろうことを願っている。