創作

白昼

未だに電車に轢かれる夢を見る。眠っている時ではなく、ぼーっとしている時などに、ふと気が付くと自然に。僕は駅のホームの最前列に並んでいて、後ろの人間に突然、背中を押される。そして電車と衝突する瞬間、背中を押したのが自分自身である事を、僕は知…

空中散歩

相対的に幸せになって、偶然的な価値を追い求めて、それで良い気分になって、良い気分になる事で良い気分に浸れるだろうか。あの子供は絵を描いているけれど、もし視力が奪われてしまったら。誰からでも、何でも奪い取る事が出来る。当然の様な顔をして、状…

落下

「ダメだ。頑張れば話が通じると思ってる所がダメだ。何となく良い気分になれる即席の慰めや愚痴でその場をやり過ごして、それを何らか深みのある思考だと思いながら自己肯定して日々のサイクルを乗り越える処世術、それがあいつが人生を賭けて堆積させた思…

死と乙女

扱っている言葉を変えたい。ここにいたくない。言葉を変えるのではなく、経験の方を変えたい。感覚その物を。僕の本質は自己を否定し続け、停止する事だ。それ以外には特に何の要素もないので、別人になったって構わない。全ての自分の感情を冷笑する人間が…

雨の日の天啓

プロローグ その日、僕は雨の降る中、誰もいないビーチで膨れ上がった溺死体が引き揚げられるのを一人眺めていた。性別不明の水人間の口、かつて口であったと思われるボソボソとした穴の中から鮮やかなオレンジ色の魚、カクレクマノミが一匹這い出てきた。き…